就業規則の不利益変更について③~さいたま市の社労士、栗田社労士事務所~
労働契約法第10条で定めている「条件」とは・・・、不利益変更に『合理的な理由』があり、変更後の就業規則が従業員に『周知されている』場合です。
就業規則の不利益変更に合理的な理由があるかどうかは、
①不利益の程度
②変更の必要性
③内容の相当性
などの条件を満たしているかで判断されます。
不利益の程度については、変更前と後を比較して、その程度が妥当であるか、否かを判断します。 例えば給与の減額であれば、減額の割合が高ければ高いほど、従業員の不利益は大きくなるため、それなりの合理的な理由が必要になります。 また、事業者側がその不利益変更の程度を減らすために、どれだけ検討や努力を行ったかという部分も、判断基準になります。 不利益変更を回避する努力をせずに、安易に従業員に負担を強いていた場合には、不利益変更が認められなくなることもあるので注意が必要です。
二つ目の変更の必要性に関しては、なぜ不利益変更をするのかという理由が問われます。 従業員の給与を減額しなければ会社が倒産してしまうなどのひっ迫した状態であれば、必要性があると認められる可能性は大いにあります。 しかし、『同業他社の給与体系に合わせるため』や『従業員を増やしたことにより人件費がかさんでしまうため』などの理由は、不利益変更の根拠にはなりづらいといえます。
三つ目の内容の相当性については、変更後の内容が社会通念上、道理にかなっているかどうかが判断基準となります。 たとえば、一部の社員だけに給与の減額を強いる不公平な変更であれば、相当性は低いと判断されますし、急に大幅な減額を行うのではなく、ある程度の移行期間を設けて段階的に給与を減額していくのであれば、相当性が高いと判断されることが多いといえます。
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