整理解雇を行う場合の注意点③~さいたま市の社労士、栗田社労士事務所~
整理解雇を行う際には、以下の4つの要件(要素)が充足されることが求められます。
(1)人員削減整理の必要性
(2)解雇回避の努力
(3)人員選定の合理性
(4)手続きの妥当性
これを満たしていないと、解雇しても無効とされます。 では、具体的にどのような内容なのか見て行きたいと思います。
(1)人員整理の必要性
→企業にとって整理解雇の実施が経営不振の解消につながるのかなど、必要性に基づいているかどうかということです。 業績不振の実態、人件費が会社の財政状況をどれだけ圧迫しているのか、助成金を受けてもなお経営状況は厳しいのか等、様々な角度から、人員削減の必要性があるかを判断されます。 もし、整理解雇によって従業員側から訴えられた場合には、会社側がこれらの必要性の根拠を示さなければなりません。 整理解雇を実施する際には、具体的な数字や資料などで、人員削減の必要性の証拠を残しておくことが大切です。
(2)解雇回避の努力
→配置転換や希望退職者の募集など、ほかの手段によって解雇回避のために努力したかどうかを問われます。 努力をせずに、安易に整理解雇を実施してはいでませんし、こちらも、企業がどのくらい整理解雇を避けるための努力をしたのかが重要になります。 前述した通り、整理解雇は“最後の手段”であるため、正社員の解雇を回避するため、アルバイトやパート、派遣社員などの臨時雇用者の数を減らしたり、役員報酬を減額することも努力に含まれます。
(3)人員選定の合理性
→整理解雇の対象となる従業員を選定する際に、その基準が客観的かつ合理的で、公平であるかどうかということがポイントになります。 対象者を選定するのであれば、年齢や勤続年数、勤務態度や業務上の評価などの基準を作成して、公平性を持って選ばなければいけません。 明確な基準がないまま好き嫌いや性別、年齢だけで解雇することがないよう、その人を選んだ理由を明確にしておく必要があります。
(4)手続きの妥当性
→対象者に説明・協議をし、納得を得るための手順を踏んでいるかどうかが重要視されます。 また、労働基準法20条1項では、従業員を解雇しようとする使用者に対し、解雇の日の30日以上前に解雇予告をすることが義務付けられています。 30日前に予告をしない場合には、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。
これらの要件(要素)は、近年まではすべてを満たすべきと解されてきましたが、近年は少し状況が変わっているようです。
いずれにせよ、要件が緩和されるということはありませんので、整理解雇を回避するために手を尽くしたうえで、できるだけトラブルにならない方法を選んでいくことが大切です。
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